ぼんにゃん日記

ぼんやりタイムに考えたことを綴るサブブログ

大雨特別警報の日に出勤してみて思うこと

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その日は、夜中じゅう続く雨の音と、緊急速報のアラームであまり眠れなかった。

 

朝からは同僚たちからのLINEの嵐。

「〇〇の道路が冠水しています!」

「バスが動きません!」

「土砂で身動きが取れません!」

 

あ、これはまずいと思った。

 

私の家から職場までは徒歩15分ほど。

 

私自身は雑用から緊急対応までこなせる中堅社員。

 

他の人が来れないぶん、私が頑張らなきゃと思った。

 

同僚たちには「早く上司に連絡して、無理せず自宅待機を」と送り、早めに家を出た。

 

おそらくこの天気だと避難勧告がでる。

 

それならボロアパートより職場にいたほうが安全だし、避難所からも近い。

 

そう考え、とりあえず食料と水と着替えとモバイルバッテリーを詰め込んだ。

 

外に出て、あまりの状況に唖然とした。

 

浸水して動かない車の列。

道を封鎖するパトカー。

どこにも行き場がなくなった人たちの群れ。

 

ちなみに冒頭の写真は、川ではなく、片側2車線の主要道路の様子である。

 

「車道がダメでも、歩道はイケる。」

後から冷静に考えるとおかしな理論なんだけど、何故かそのときの私はそう確信していた。

直前に同僚が同じ道を通っていたということもあり、前に進むしかない、と思った。

 

そして、深く考えることなく泥水の中に足を運び入れた。

 

せいぜいふくらはぎくらいまでだろうと思っていた水位は意外と深く、膝上まで来た。

 

真ん中くらいまで進んだとき、なにかに足をぶつけた。

 

そのとき初めて怖くなった。

 

泥水で足元が何も見えないこと。

スポーツサンダルに、ズボンの裾をまくり上げて素肌を晒していること。

土砂から異臭が漂っていること。

 

下にもしガラスの破片があったら?

排水口のフタが開いていたら?

破傷風などの感染症にかかったら?

 

軽率な行動を取った自分を悔いたが、今さら後には引けない。

 

なんとか道を渡りきり、始業前に職場に到着。

 

数人だけで業務を開始したものの、客も業者も来られないので、やるべきことがあまりない。

 

電話だけはやたらかかってくるが、「今のところ開いてはいますが、主要道路は冠水、裏道は土砂崩れで動けません。これからどうなるかは分かりません。」というマヌケな回答しかできない。

 

結局、1時間ほどコーヒー飲んだりネット見たり、どうでもいい単純作業をしたりして過ごした。

 

その間に、私が通ってきた道は水が引いたらしい。

 

ねぇ、私が頑張って泥水渡って来る必要あった?

1時間くらい自宅待機して様子見ながら来ても、仕事には全く支障なかったよね?

 

そうこうしているうちに、車通勤組が数時間かけて到着。

 

結局、自宅には戻らずひたすら車で渋滞に巻き込まれていたらしい。

 

ドアのところまで水が来て怖かったと。

脱出用に窓を開けておこうかと思ったけど、そしたら水が入ってくるので開けられなかったと。

 

ねぇ、そこまでして来る必要が本当にある?

 

そして始まるのが、まだ来てない人に対しての悪口大会。

 

なんで自分たちが頑張って来たのに、あいつは来ないんだ、と。

 

いや、別に来なくていいよ。

仕事、ないじゃん。

むしろアンタらなんで来た?

泥水に浸った車の安全性は?

帰り、どうすんの?

 

そう言い返したい衝動をこらえ、一人一人の住所を聞き出し、避難レベルや最寄りの避難所の確認、通勤路の交通状況などを確認していった。

 

驚いたのは、ほとんどの人が避難準備と避難勧告と避難指示の違いも、避難所の場所も、その調べかたさえ分かっていないこと。

 

なんのための緊急速報?

ネット使えないお年寄りとかならまだ仕方ないけど、君ら20代のスマホ世代だよね?

どっちかと言うと、避難の手助けをする側だよ?

 

最終的に仕事は仕事でそれなりにあったけど、どれも「今日、本当に必要?」と言われれば首をひねるようなものばかりだった。

 

そして、終業後。

 

私は一体どこへ帰ればいいのだろう。

 

自宅は河川氾濫、職場と避難所は土砂崩れのおそれによる避難指示区域。

 

建物の頑丈さは、避難所>職場>自宅。

だが、女性1人で知り合いもいない避難所へ行くことは、性犯罪や盗難等のリスクもある。

 

職場に泊まるのが無難だが、床に雑魚寝しても疲れは取れないだろう。

 

自宅はボロいが、装備は充実している。

雨は小降りになり、朝ほど浸水はしていない。

これからの天気を考えると、土砂崩れより河川氾濫のほうが起こる可能性は低い。

とりあえず自宅へ向かい、途中の道が危なかったり、川の水位が上がるようなことがあれば職場に戻ろう。

そう考えて、帰宅した。

 

家に着いて思ったのは、「本当に必要な行動ってなんだろう?」ということ。

 

少なくとも私が膝上浸水してまで定刻に出勤する必要はなかった。

 

数時間かけてまで全社員が出勤する必要もなかった。

 

そんなことより、避難情報を確認したり自分や周囲の身の安全を確保する行動を取って欲しかった。

 

私は仕事が大好きな変人で、普段週6で働いて、残業や夜間や休日出勤もこなしたりする。

仕事に対してのプライドもめちゃくちゃ高い。

緊急時だからこそ必要な仕事もあるということも理解している。

 

それでも、無駄に働きたいわけではない。

 

もし、多くの会社や学校がもっと早くに自宅待機や避難を促していたら、あんなに渋滞することも、レッカー車が道を塞ぐこともなく、緊急車両がもっとスムーズに動けたかもしれない。

 

もし、雨があがってもしばらくは必要最小限の仕事量にとどめ、自宅や近所の片付けや復旧作業を優先していたら、二次災害や物流停滞のリスクが少しでも減らせるかもしれない。

 

出勤中に足をぶつけてアザができたくらいの被害しかなかった私が偉そうに語るのはおこがましいのかもしれないけど、災害時のリスク管理として、本当に必要なことと必要最低限のことについてすごく考えさせられました。