アラサーが麻しんワクチンを打とうとしたら想像以上に大変だった
GWは沖縄でマリンスポーツを思いっきり楽しむぞ!と思って、はりきってダイビングスクールに通い詰めている間、世間では麻疹の流行が大変なことになっていた。
正直、はじめの頃は麻しんを甘く見ていた。
・沖縄と言っても離島だし、人混みにはそんなに行かないから大丈夫だろう
・うちの親なら子どもの頃にしっかりワクチン打ってるはず
・体力あるほうだからそう簡単には感染しないでしょ
これらの思い込みが全て間違っていたことを最近になってようやく知った。
はしかの強力な感染力、26-39才は1回しかワクチンを打っていないこと、免疫を持っていなかったら100%発症することを知った頃には、もう出発まで2週間を切っていた。
今からワクチン打っても抗体ができるまでには間に合わない。
自分の意思で旅行に行って、私だけが病気にかかるのであれば、それは構わない。
そういうリスクに怯えていては、車の運転も、飛行機に乗ることも、ダイビングも、何もできないと思う。
だけど、私が万が一はしかにかかった場合、一体どれだけの人に感染を広げることになるのだろう。
職場のスタッフはほとんどが同世代。
毎日不特定多数の人と接する仕事。
県外から来る人にうつすと、更に感染が拡大する。
妊婦や乳幼児も時々来るし、その人たちにうつすと大変なことになる。
私は一体どうしたらいいんだろう。
すごくすごく悔しいけど、沖縄行き自体を取りやめたほうがいいのだろうか。
そう思って色々と調べてみたら、
・1回のワクチンで抗体ができる可能性は95%、2回接種で99%になる
・旅行自体を取りやめる必要はないが、直前でも良いからできるだけワクチンを打ってから来て欲しい
とあった。
(もちろん例外はあるだろうし、個人の検索範囲内なので保証はできないけど)
ならば1日でも早くワクチンを打って、少しでも感染リスクを減らそう。
そう思って、仕事が休みの日に、開いている病院に電話してみた。
これだけ世間で騒がれているから、在庫が少なかったりするかもしれないと覚悟はしていたけれど。
インフルエンザ等のワクチンに対応している内科をネットで検索し、そこから更に電話で10件以上問い合わせをするも、麻しんワクチン接種を行なっている病院がわずか2件。
在庫の有無ではなく、そもそも取り扱っていないとのこと。
残り2件も、病院には在庫がなく、予約が入ってからはじめて注文し、数日後に取り寄せるシステム。
それも、「抗体検査したんですか?今から打ってもGWには間に合いませんよ?1万3千円ほどかかりますよ?」と、かなりしぶられた。
病院が開いているのは平日の昼間のみ。
私に残された平日休はもうない。
かくなる上は、上司に頼み込んで1時間ほど仕事を抜けさせてもらうしかない。
繁忙期のいま、みんな嫌な顔するんだろうな。
なんでこんな時期に行くんだって言われるんだろうな。
確かに、知識不足だった。
情報収集も、行動するのも遅かった。
でも、正しい情報が、もっと早く、確実に届いていたら。
ワクチン対応している病院をもっと分かりやすく紹介してくれていたら。
病院に在庫を常備しておくか、数日前から予約が必要ならHPに書いてくれていたら。
比べても何の意味もないのだけれど、日頃獣医師として狂犬病ワクチン接種の啓蒙に務めている身としては、もやもやしてしまう。
法律で接種が義務付けられ、
違反すると罰則規定があり、
毎年通知が来て、
期間内に打っていないと再通知、
獣医師が日頃の業務を投げてまで集合注射に出かけ、
ごく一般的な、小さな動物病院ですらこの時期は常に100本以上の在庫を置いてある
狂犬病ワクチンですら、年々接種率が下がっているというのに。
全ての哺乳類が感染する致死率ほぼ100%の病気だと、犬を飼う上での義務だと、どんなに説明しても、
「でも日本では長い間発生していないんでしょう?」→長年にわたるワクチンの普及と野犬駆除のおかげ
「こんなにするなんて、獣医師のぼったくりだ!」→1本3000円程度。事務的な手間が多いわりに儲けはほとんど出ない
「うちの子は〇〇だから打ちません!」→未成年だけどお酒飲みますって居酒屋で宣言してるのと同じ。接種に不安がある場合、打つか打たないかは獣医師が診察した上で決める
こんなことを毎日言われ続けているというのに。
はしかに興味を持ち、
自分で情報収集して、
感染リスクを自覚し、
抗体形成までのタイムラグや費用などを了承した上で、
接種を希望している人に対してあまりにも塩対応というか、これで本当に感染を防げると思っているのだろうか。
私自身にも落ち度は充分あったし、結果的にはなんとかワクチン打てそうなんだけど。
時間的にも金銭的にも余裕が少なく、興味のない情報は入って来にくい、だけど国内外への移動は多いと思われるアラサーアラフォー世代がターゲットとなる感染症への対応策に不安になった。