新人時代の思い出
社会人1年目は、いま思い返してみても壮絶だった。
・優秀な先輩方に憧れて就職したつもりが、3ヶ月以内に全員辞める
この業界ではそれほど珍しいことではない。
優秀ゆえに、もっと条件の良いところへ転職したり、自ら開業したりするのは当然だろう。
そのかわり、免許取りたての、実践スキルなどほとんどない新人が身代わりにされ、指導者不在のまま、現場に放り出される。
よくあることだからこそ、それだけは絶対に避けたくて、就活の時点からそこそこ人数の多いところに絞り、履歴書の志望動機にも明記し、私が入ってからも1年間は絶対に辞めないという言質を取ってもいたのだが、
そんな口約束など何の役にも立たなかった。
・女性スタッフから容姿や服装を馬鹿にされる
通勤時の服装や髪型が比較的自由な職場で、周りがジーパンやジャージなどで出勤しているなか、ジャケットやカーディガンにスカートといったオフィスカジュアルな格好をしていたのが気に食わなかったらしい。
いくら制服があるとは言え、信頼と清潔感が第一な動物病院へ出勤するんだからきちんとしなければ、という生真面目な思いが裏目に出た。
・すべてを新人のせいにされる
うまく仕事が回らないとき。
予想外の展開が起こったとき。
売り上げが悪いとき。
なにか悪いことがあればすぐ私のせいにされた。
当たり前だが、誰のせいでなくても、ベテラン勢で固めた今でも、そんなことはよく起こっている。
たかが新人1人の裁量でグラつくような経営ならそんなもん潰れちまえと、帰宅してから壁を殴って穴を開けたこともあった。
・当時の恋人がブラック企業で病む
家に帰ってからも、同棲しているわけでも生活費を折半しているわけでもない彼氏のためにご飯を作り、ひたすら話を聞き、「お前は楽そうで良いよな」という言葉にも笑顔で交わし、なだめ、励まし、側にいた。
一時期は生きることすら危うい状態。
養う覚悟も決めつつ、通院と転職のフォローを続けた。
こんな状況で自分の愚痴など一切言えるはずもない。
しかし、そんな生活を1年も続けていると、色々と知恵もついてきた。
通勤服は、無難なもののコーデを作っておいて着回し。
掃除をしやすくするためと、頭の中がとっちらかって片付けられない彼のためにモノは極力減らす。
誰からも理解されず、自分でも「ワーキングプアーのずぼら術」だと卑下していた。
まさかそれがミニマリストとかいう流行りの生き方にマッチしようとは。
さらに、そこからブログや旅、オフ会、オタ活、女子力修行など、色々と視野を広げるきっかけになろうとは。
コンプレックスはあらゆるものの原動力になる。
運と実力の結果、幸せなことに、今は人間関係もちょうどいい距離感になり、仕事も趣味も充実したお気楽干物ライフを楽しんでいる。
クソな新人時代を美化する気はさらさらないが、そこから得た様々な知識や価値観は、良くも悪くも今の私の大きな構成要素の一つである。
やっかいごとは避けるに越したことはない。
けれど、どうしようもない困難に直面したとき、
せめて何かを学び取って再び立ち上がろうと決意すること。
そう思える自分に誇りをもつこと。
落ち込むとすぐに忘れがちになるけど、この気概は持っていたいと思う。