GWの記念日
GW前半は、溜まっていた家事や執筆活動に当てるつもりだった。
朝からお気に入りのキャスキッドソンのエプロンに身を包み、ジャズを流しながら、部屋を片付け、床を磨き、洗濯機を何度も回す。
せっかくだから、シーツや毛布類も全部洗ってさっぱり。
外に干しても良いけれど、花粉やPM2.5が心配だから、コインランドリーで乾燥することにした。
乾燥機にかけている間、なんとなくスマホをいじっていると、ある投稿が目に飛び込んできた。
GWに結婚すると、気候も良いし、毎年絶対休みになるし、忘れないから良いよね。みたいな内容。
その瞬間、私の心がベコッと凹む音がした。
実は、ほぼ同じ理由で、昔付き合っていた恋人との記念日をGWに設定していた。
ちょうど何年後の記念日が大安だから、それまでにお互いいくら貯めて、仕事ではこれくらい出来るようになってて、そしたら結婚しようね、という話をしていた。
数年前にはプロポーズもされていた。
だけど今の私は、こうして一人でコインランドリーにいる。
別れたこと自体に後悔もないし、相手に未練など一切ない。
でも私は一体何をやっているんだろう。
あのまま大人しく交際を続けていれば、20代で結婚して、ちょっとくらいオタクだろうがオシャレじゃなかろうが、誰からも責められることなく穏やかに生きていけたのではないだろうか。
そんな意味のないタラレバ論が頭の中をぐるぐる回り、目の前が暗くなった。
そんなとき、一人の青年が大量の冬物を抱えてコインランドリーに入ってきた。
おそらく同世代。
爽やかで、人の良さそうな感じ。
初めて見た人だし何も知らないけど、GWの合間に一緒にコインランドリーで洗濯してるってとこに勝手に仲間意識が芽生えた。
そっか、別にこういう生き方があってもいいんだ。
あったかくて真っ白なシーツをたたみながら、前を向いてまた頑張ろうと思った。