好きだけど、好きだけじゃ、好きじゃなきゃ。

獣医師になるという幼い頃からの夢を叶え、好きなことを仕事にしている。

この点については、人からよく羨ましがられるし、自分の大きなアイデンティティの１つにもなっている。

しかし、毎日好きな仕事ができて幸せ！人生最高！と思っているかと言われれば、正直悩む。

私にとっての「好きを仕事にする」人生のほとんどは、その辛さと向き合うことだった。

あらゆるものを犠牲にしながら死ぬほど勉強して難関学部を突破したにも関わらず、

医歯薬系や外資に進んだかつての学友に比べれば薄給。

急な残業や休日出勤は日常茶飯事。

長期休暇は取れない。

一日中立ち仕事で身体的に疲弊する上に、

余命宣告や安楽死など精神的につらいことも多い。

好きだけど、しんどい。

そのしんどいと思ってしまう自分が許せなくて、散々責めた。

好きだけじゃ、ダメなんだ。

そう思って、あらゆるものを手放した。

勉強するために、友達と遊ぶことやお洒落や恋愛は小学生の頃に諦めた。

1冊数万円はする専門書を買うために、大学時代はサークルにも入らず、ひたすら節約とバイトの日々。

このストイックさと執念を理解してくれる人は誰もおらず、どこかずっと孤独だった。

でも、好きじゃなきゃここまでやってない。

諦めたほうがどんなに楽な人生だっただろうかと思っても、やっぱりこれだけは手放すことはできなかった。

好きだけど、よく落ち込む。

でも、好きだから、また立ち上がれる。

というか、立ち上がることしかできない。

「好きなことを仕事にしているくせに、キラキラしていない自分」に嫌気がさすことも多いけれど、ほんの少しでも、この仕事をやってて良かったと思える瞬間があるのならば、それを信じてやり続けていこうと思う。