繁忙期を前に思うこと
多くの動物病院スタッフにとって、4月は恐怖の繁忙期の始まりである。
狂犬病予防接種、フィラリア症予防、ノミ・マダニ駆除などを求める方たちが一斉に殺到するためだ。
来院数はいつもの5倍以上。
なのに集合注射などで人手が割かれる。
この頃の訳のわからない忙しさと凄まじい回転率の中にいると、正直、自分が医療従事者というよりファーストフード店のバイトのような気すらしてくる。
愛想よく、テンポよく、サクサクと仕事をこなしていく。
それでも行列は絶えないし、気の短いおじさん達は怒鳴りだす。
体力も精神力も大幅に消耗し、帰る頃にはご飯を食べる気力すら残っていない。
この繁忙期ダイエットは数ヶ月続く。
でも、忙しいのは意外と嫌いではない。
並んだカルテを眺めるなり頭の中で、自分がやるべきこと・時間配分・周囲への指示を一瞬で組み立てて実行し、実際その通りにスムーズに流れるのはめちゃくちゃ快感である。
だが、いつも予想通りにコトが進む訳ではない。
突然検査機器が故障したり、緊急疾患が運ばれてきたり、イレギュラーな事例をあげればキリがない。
私が繁忙期に一番心がけたいのは、「心までなくさない」ということ。
仕事はお互いの信頼関係の上に成り立っていることは分かっているつもりだが、忙しいとつい「いかに速く効率よく回すか」に意識が行きがちになる。
忙しいときほど、自分や周囲に労わりや受容の心を忘れないようにしたい。