方向音痴と優しい人達
私は極度の方向音痴である。
どこかへ行くときにはGoogleマップが手放せない。
バスや電車の乗り間違いはもはや想定の範囲内。
ひどいときは新幹線の上りと下りですら間違えたりする。
小さい頃はよく親から「お前が誰かの後ろにくっついてばかりで、自主的に動こうとしないから道を間違えるんだ。」と怒られていた。
そういうものかと思って、1人で行動する範囲を広げてみたり、誰かと旅行するときは率先して道を調べてみたりしたけど、やっぱり方向音痴は変わらないままだった。
1人で迷えば心細くて泣きそうになる。
誰かと迷えば責められて泣きそうになる。
知らない土地を歩くときは、いつも不安で一杯だった。
でも今は違う。
1人で迷うのはまだちょっと怖いけど、「まぁ何とかなるさ。」と歩いていれば、思いがけない人や物に出逢ったりする。
誰かと迷ったときに、一方的に幻滅されたり責められたりすることも、もうない。
地図が得意な人はサクサク道案内してくれる。
そういうときは、すごく頼もしい友人を持ったなぁと嬉しくなる。
反対に、苦手な人と一緒に迷子になったときに、「どっちでしょうねー?」と言いながら、わたわた動き回るのも楽しい。
面白い経験が一緒にできる友達がいて良かったなぁと思う。
本当に残念なくらい方向音痴だけど、そのおかげで余白のある旅ができたり、優しい人たちに恵まれたりして幸せだ。