隙あらば仮眠
私は移動中よく寝ている。
隣にいるのが赤の他人だろうが、知り合いだろうが、特に気にしない。
なんなら混雑している電車やバスの中で立って寝ることもできる。
その癖がついたのは高校生のとき。
当時バスで1時間程かけて通学していた。
進学校のなかの更に特進コースかつ運動部に所属していた私が車内でやることは、勉強するか寝るか。
しかし文字を読むと車酔いして後がつらいし、何かを書こうにもガタガタ揺れてやりづらい。
それならば移動中は思い切って仮眠を取って、家や学校で集中したほうがいい。
これは同じ高校の先輩である兄からの助言でもあった。
そうして3年間を過ごした結果、移動中のみならず、隙あらばどこでも寝るようになった。
良かったことはたくさんある。
私が週6勤務の職業人と週末弾丸トラベラーが両立できている秘密は、移動中の回復能力の高さにもある。
急患などで仕事が忙しくなったとき、8時半出勤→21時退社→24時出勤→2時退社→8時半出勤みたいなループが続いても、体調崩したり致命的なミスを犯したりしないのは、勤務時間中だろうが手が空き次第即仮眠しているからというのもある。
しかしこの仮眠グセゆえに困ることもしばしば。
乗り過ごすことは滅多にないが、現在地がどこなのか分からなくなる。
土地勘のない旅先だとわりと焦る。
知り合いからは結構な確率で心配される。
アドバイスしたはずの兄でさえちょっと引き気味である。
痴漢や盗難にも気をつけなければならない。
対策として、「いまの自分に本当に仮眠が必要か見極める」のと、「眠りの深さや時間を自在にコントロールできる」ように練習することにした。
隙あらば仮眠。私の大きな長所でもあり短所。
今後どう使いこなせるようになるのか、楽しみである。